2回目のお手入れに行ってきました
驚くほど暇なはずだった私のスケジュールは、一本の電話から真っ黒に埋まり、気力も体力も限界を感じるような状態で羽田空港に向かったのが朝7時。
搭乗する少し前に「焼き魚定食500円」の朝食をとり、機内でコーヒーを飲み、眠る。荷物が少ないのが唯一の救いだったかも。
友人のYanと新千歳空港に降り、お約束の「味噌ラーメン」を食べながらYanのダイエット宣言を聴く。ずいぶん説得力のない宣言だが、これは案外大事な宣言だった。
少し早めにホテルのチェックインを済ませ、30分かけて二人でこの一泊二日のスケジュールの作戦を立てる。やりたいことを羅列すると。
・おばあちゃんのお顔のお手入れ(前回よりも時間をかけたい)
・おばあちゃんの耳掃除と爪のお手入れもしたい
・おばあちゃんの指先からひじ、足のつま先からひざまでをきれいにしたい。(前回は手だけだったから)
・お母さんのお顔のお手入れもしたい
前回の反省を踏まえ、道具はすべて持参できた。
水筒に熱湯を入れて病院でほっとタオルを作る算段もできてるし、タオルは肌触りのいいものばかりを選んできた。今回はエプロンも持参。自分の服も汚さないで済む。
おばあちゃんやお母さんの髪を止める「針金入りバンダナ」も持ってきた。聖子ちゃんのコンサート会場で買っやつだけど。もちろんコットンもフェイスマスクも・・・
あ~~~!!フェイスマスクがな~~~い!!
とにかく今日の予定は、「病院に行っておばあちゃんの耳・手・足をきれいにする」ことに集中するため、フェイスマスクの準備は先延ばしになった。
時間を立体的に考えると、同時進行したり時間を削減してどこに費やすかを必然的に考えるようになる。
Yanに「5時にはホテルに帰ろう」と約束したが、結局6時まで病院にいた。
さて。病院に行ってみると。
おばあちゃんの病室は移動されていて、おしゃべりで元気で明るいおばあちゃんたちが同室の、とても賑やかなお部屋になっていた。
「あらま。さっきまでおしゃべりしてたんだけどねぇ」とお向かいのおばあちゃんが教えてくれたが、我々のおばあちゃんはすっかり眠ってしまっていた。
容赦なく(笑)、お手入れの準備を始める。
テーブルに、爪のやすり、爪きり、クレンジング(レモン)、ひまわりのオイル、タオル、綿棒、ティッシュを用意。
初めに爪を切ったり整えたり。うん。ガタガタもこれならキレイ♪とやっていたら…
「血!!」
おばあちゃんの爪を切り過ぎてしまい、出血してしまった。
あれこれ同時進行したかったYanの手は、ひたすらおばあちゃんの止血に費やされました。意味ないじゃん!!
耳掃除は目が覚めてからにしよう、ということで、手のお手入れから開始。
寝ているおばあちゃんの手にドボドボとクレンジングとオイルをのせてマッサージを始めた。
各腕10~15分位ずつのマッサージをして、タオルで拭き取る。
うわ!カサカサで粉をふいていたおばあちゃんの手は、つやっつやのキラッキラになりました。
両手が終わったら両足。寝てるのか起きてるのか、微妙なところのおばあちゃんの足をぎゅっとだして、つま先からマッサージを開始。こちらもクレンジングとオイルで。
つま先、足の指の間、足の裏、足の甲、くるぶし…とだんだん上に上がっていき、ふくらはぎへ。
「長生きしたければふくらはぎをもみなさい」という本が書店に並んでいたのを思い出し、自己流で申し訳ないけど、モミモミしながら足のお肌をきれいにした。
つやつや~~♪
するとYanは、「ねぇ。クレンジング貸して。おばあちゃんのひざ、やってもいい?」と聞いてきた。゚+.(ノ。・ω・)ノ*.オオォォ☆゚・:*☆自分で何かしてあげたいと思うようになったか!素晴らしい!
Yanの心の成長を喜びつつ「いいよ~」と返事すると、私の見様見真似でやりだした。
私だってまりちゃんの見様見真似である。まりちゃんにこの姿を見せたかった。
おばあちゃんの足までお手入れを終え、耳掃除をして今日のところは完了。
おばあちゃんに「明日はお顔のお手入れをさせてください。」とお願いして、「明日は2時過ぎに来ますね。」と約束をした。
おばあちゃんは喜んでくれました。「明日ね」と手を振ると、おばあちゃんも手を振り返してくれた。あ~~・・・感動・・・
手稲駅から札幌駅に帰り、晩御飯に出かけたが、ここでは割愛。Kattz EYE!
二日目。
10時にチェックアウトをした私たちは、まっすぐ手稲駅へ。
おかあさんとの待ち合わせをしている途中でローソンによる。「資生堂アクアレーベルモイストチャージマスク」を2つ購入。マスクだけ必要だから、ついている化粧水なんかは全部洗い流せばいいのだ。
お母さんと合流。
こんな午前中から時間を空けてくれるようなことなんて、今までなかったのに、今日は洗顔だけしたどすっぴんのお顔で登場。そしてすごくテンションが高い。
お母さんのお顔のお手入れに取りかかった。
クレンジング→ホットタオル→ひまわりのオイル→マッサージ入念にマッサージ→ホットタオル→ウィートジャームマスクでパック→しばらく待つ。
ここまでの間、ずっとテンション高いおしゃべり。お母さんはずっとしゃべっていた。
しかもここでトイレタイム。「いつもの10倍くらい出たわ。すごいわ。」とのこと。
ホットタオル→さっきの「資生堂のフェイスマスク」をお湯できれいさっぱり洗い流し、ゼロの状態にして、サンダースの化粧水「コスメティックローション」にドボドボと浸らせる。→それをお顔に乗せて広げ、更に上から化粧水を足す。→しばらく待つ→化粧水がどんどん浸透→どんどん浸透→マスクを外します→ここで秘密兵器投入!
!説明しよう!「秘密兵器」とは、「サンダース プレミアムマスク」のことで、「マシマロスキントニックとウィートジャームビューティーパルムが存分に含まれた、最高級保湿マスクなのだ!!
この秘密兵器をお顔に投入→15分待つ→触るとまだヒタヒタなのに、勇気を持って取り外す→カレンドラオイル→ハネボガードビューティークリーム→非売品の保湿クリーム→日焼け止め
で、出来上がり♪
まだどうしても手際が悪いので、2時間近くかかってしまいました。パウチはどうしても苦手だ…Yanにはパウチをハサミで開ける係をやってもらいました。
うわ~ なんだこの疲労感は!!まりちゃん、これを一日に何人もやってるのか!尊敬します。すごすぎです。
私はどうしても一息つきたかったので、どこかでコーヒーを飲みたいとお願いしました。
3人で車に乗り込み、発進すると・・・虹!!!!
車に乗る直前にお空の太陽さんからエネルギーを補充してもらいました。
その時にはわからなかったのだけど、太陽を背にして車が走り出すと、雨雲が分厚く浮か空に、大きな虹がかかっていました。太陽が雲に隠れるまでのほんの数分でした。
私たちは車内で歓声を上げ、通行人の見知らぬおばあちゃんに「虹だよ」と叫び、じっと虹を見つめました。労ってもらっているような、ほめてもらえたような、感動でした。
その後、お母さんとYanと3人でモスバーガーに入り、「釧路のザンギバーガー」と「コーヒー」で一休みしました。
コーヒーを一口飲み干す頃、お母さんのほっぺの赤みが取れてきて、どんどん白く、どんどん透明感が出てきました。なんだか、一つの芸術作品を仕上げたような気持ちになって、私の顔は何も変わらないのに、誇らしい気持ちになったのです。
お母さんは本当に喜んでくれました。うれしすぎです。
さて。14時。病院の面会時間です。3人で、いざ、出陣!!
今日のおばあちゃんは起きて待っててくれました。脳のCT検査も終わり、午後はお手入れに十分時間を取れそうです。
おばあちゃんも「待ってました!」な雰囲気。すごくいい感じです。
お母さんにお願いしてベッドを少し移動し、頭の真後ろに立てるスペースを作ってもらいました。
「では。おばあちゃん。よろしくお願い致します。」
エプロンが黒いので、まるでソムリエの私。いえいえ、今日は美容部員ですわよ♪
クレンジングでお顔と首までをきれいにしまして→ホットタオル(Yanはこのホットタオルを作る係w)→ひまわりオイルで首までの全体をマッサージ。さっき太陽さんからエネルギーを補充してもらったので、そのエネルギーがおばあちゃんの生命力になるよう願いながら、くるくるとほっぺたをマッサージ。大きめのタオルをホットタオルにしてお顔に当てると、おばあちゃんは「あ~~気持ちいい~~」と一言。
うれしっすう。
そしてまた、化粧水パックをするために資生堂のマスクを洗い流し、ゼロに戻して、改めてコスメティックローションをドボドボ注いでパック。更にコットンに化粧水を浸して首元へパック。
しばらく待ちます。
途中、看護師さんが「あら、エステですか。いいですね。私もやってもらいたいわ♪」と声をかけてくれました。「いいですよ~」と言うと「でも高いのよね。エステって。」と言われました。更に「温泉でエステしてもらったら6000円もしたのよ。もう無理だわ~。」と。これは、遠まわしに私たちへ嫌味を言っているのだと思います。
私は「それはきっと技術料が高かったのかもしれませんね。すごくよかったんじゃないですか?私は材料費だけなんで2100円です。」と言い返してみた。
ごちゃごちゃ批判して出ていってしまった。
そーか。看護師さんのジェラシーは想定外だったなぁ。
化粧水パックの次は、お母さんと同じ「秘密兵器」を投入。ここで更に15分。
どこではかってたのかわからないが、この秘密兵器のパックを終えて顔からはがすと、2人の看護師さんがやってきて、「はい。出てってください。」と追い出されてしまった。
体重を計りに来ただけらしいけど、まさか財布も持たせてもらえず追い出されてしまったので、途方に暮れる我々。そう。我々3人とも追い出されたのだ。家族すらも!
しばらく車の中で待機し、それも飽きて、受付のあるフロアで自動販売機のカップのコーヒーをYan のポケットの小銭でおごってもらった。ぶつくさいいながら(笑)
もうそろそろ戻ってもいいでしょう、と30分弱で病室に行くと、おばあちゃんが不安そうな、申し訳なさそうな顔して待っていました。おばあちゃんのせいじゃないのに。
おばあちゃんの心配を払拭するように「うわぁ~ これだけでおばあちゃんすっごいきれいになりましたね♪」と声をかけて、保湿の続きをしました。
カレンドラ→非売品の保湿クリーム→日焼け止め。
どこでハネボガードを入れたのか、もう忘れてしまった。とにかくショックが大きくて。追い出されたことに。
すっかりきれいになったおばあちゃんのお顔をご本人に見せたくて、Yanに鏡を渡しました。Yanはおばあちゃんの動く方の手に持たせると、「あとは自分でやって」と言い放つ。おい。せめてちゃんと持たせてあげなさいよ。
きれいになったご自分を確認したら、今度はお母さんの出番です。
「ばあちゃん 大根煮たよ。食べるかい?」とまだあったかいタッパーを開けて、おばあちゃん口に大根を突っ込む。
おばあちゃんは無言でもぐもぐもぐもぐ。ごくんとのんだら口を開けて、大根をまた突っ込まれ、もぐもぐ。まだ飲み込んでなくても先走ったお母さんが大根を口に持っていくと、口に入っているのに口を開け、もぐもぐ。
そういえば、昨日までは、栄養ドリンクの缶ジュースしか飲んでなかったのよね。お食事レポートには「梅干し」「ジュース」としか書いてなくて、おばあちゃんの食欲は待たなくなっちゃったんだなぁと心配していたのだけど。
大根と人参の甘く煮たやつ。ペロリっと完食。一緒に煮たこんにゃくはYanがペロリ。
お母さんはおばあちゃんの好物とYanの好物を良く覚えていて、お手入れをしている間に自宅に戻って煮物をあっため直し、持ってきてくれたのだった。
もちろん、私にも勧めてくれた。これがお母さんの感謝の表現なんだと思います。
健気だな。モテるわけだ。多くの男性がこういうかわいいところに惚れたんだろうな。
お母さんにおばあちゃんの耳の中にある大きな塊がとても深刻だから、大げさにドクターに相談してくださいと伝えました。
おばあちゃんには、「Yanのスケジュールがあかなくて、1月の半ばくらいになったらまた来ます。私は暇なんですけど、やっぱり二人で来ないと。あ、でも、Yanはダイエットするって言ってますから、1月に来るときには痩せてるはずです。楽しみにしててください。」と告げると、おばあちゃんは思わず笑った。
でもとてもさみしそうだったので、「もし、お手入れしてほしくなったらいつでも呼んでください。お母さんは私の連絡先知ってますから。いつでも来て、お手入れさせていただきます。今日もお手入れさせてくれて、ありがとうございます。」と告げた。
私たちは、片づけを済ませると、同室のおばあちゃんたちにも挨拶をして、風のようにJRに乗って帰りました。
空港で、Yanが「咲さんにお世話になったから、このコーヒーを買ってあげたいの。」と、5年連続1位になったという高そうなコーヒーを買ってくれました。
皆で感謝の気持ちがくるくるッとまわって伝わった瞬間だな、と思ったのでした。