ご都合主義の人の悩み(いじめ)
係長は一生懸命残業していますが・・・・
いじめの相談を受けた
ひそひそと話題にされたり、嫌がらせをされたりするそうだ。
とてもつらい、とのことだった。
「それ、どこの小学校の話?」と聞くと
「私の職場だよ」と答えた。
P子さん(仮名)は、かれこれ勤続10年になる。
そこで、本当に小学校かと思うほどの幼稚ないじめを受けている。
いじめている人は、「はやく辞めればいいのに」と言っているらしい。
ポストイットにフリクションで「早く辞めれば」と書いて、こすって消して、
その上から用事を書いて、あちこち回しているという。
その幼稚な様子に、つい「え?21世紀なのに?」と言ってしまった。
だいたいあと10年たてば職業が半分なくなるだろうと言われているのだ。
そんな時代に「早く辞めれば」と紙に書いて回すとは、くだらないにもほどがある。
部署の上司も一緒になっていじめてくるとのこと。これはパワハラだと、P子さんは言っていた。
パワハラだと思っていて、いじめられている自覚があるなら、人事や総務のそういう機関にきちんと相談するべきではないかと思う。
P子さんによると、その職場は2年前に渋谷の本社から他の地域へ移転された。
以前は渋谷まで乗り換えなく1時間で通っていたのが、移転してからは乗換を2回もしなければならなくなった。
つまり、不便な場所へ移転されたということだ。
P子さんとの付き合いもかれこれ20年以上になるけど、その間、その職場の愚痴は沢山聞かされてきた。
男性社員が我が物顔で女性をこき使うとか、自分が遠慮すると相手はずかずかと態度が大きくなるとか。女性同士のいじめや嫌がらせも聞いたし、「なんとかさん、ていう女ボスみたいな人がね、すごく気が強いから、彼女にだけは逆らわないようにしてる。」なんて話も聞いたことがあった。
そして2016年に入り。お鉢が自分に回ってきた。
つまり、いじめのターゲットにされたのだ。
ことの発端は、男性社員とのやり取りだったらしいけど、その時、陰でたくさん涙を流したP子さんは、信頼できるけど部署が違う女性上司に相談した。そして、一度収束したように思えた。
ところが最近、また火種がついて、今度は男性の上司、男性社員、それを取り巻く女性社員たちが、こぞって自分をいじめているという。
「もしかして、あなたの職場、暇なの?」とP子さんに聞くと、「うん。確かに暇だ…」と答えていた。
いじめたいのか。いじめられたいのか。それは私にはわからないし、どうでもいいことなんだけど。私に相談をしてきたということは何かのヒントをもらいたいと思っているようで…
「職場の会話、録音したら?」と提案すると「うちの職場、録音禁止なんだよ。」だって。
「じゃ、会社のそういう機関に相談したら?」と聞くと、「そんなことしたらこれ(いじめ問題)が明るみになっちゃう。私が言ったってばれちゃうもの。」だって。
「じゃ、辞めたいの?」と聞くと「いつかは辞めようと思ってたけど今じゃない。」だって。
「じゃ、いつ辞めるの?」と聞くと「12月までは働きたい。有休がとれるから。」だって。
どうなの?これは?
自分にとって、都合よすぎじゃない?P子さん、本当に悩んでるの?
そこで思い出した。
P子さんは結構な自分勝手な人だった。
自分にとって得するか損するか、だけで物事を観ているから、周りが損するかもしれない、ということは考えていない。
例えば、カラオケボックスのドリンクバーで、飲み物をのみながら歌を歌う時、必ずその飲み物を自分の水筒に入れてもって帰る。
自分から誘って遊びに行こうと言うが、カラオケの最中でも「用事あるから」と言って帰ってしまったり。
フェイシャルエステを紹介すると無料サービスだけ受け、お金は1円も使いたくない。
以前から思っていたけど、結構なご都合主義なんだよなぁ。
「職場のいじめ」は、他人が受けている時は知らんぷりして、自分が受けている時は「つらい」という。
解決のために行動するのは嫌で、でもいじめないでほしいと思う。
じゃ、会社や上司の期待に応えるような、例えば企業理念を共有したかというと、そうではない。
もちろん上司に逆らう気はないけど、ほめてもらう努力はしていない。
一度こういうことがあった。
書類がたくさん入った段ボール箱があって、それを移動しなければならなかった。
すごく重いから嫌だけど、上司の命令だからやらなきゃなぁと思って、どうやって運ぼうかと悪戦苦闘していた。
そこに男性社員が通りかかり、「手伝いましょうか?」と声をかけてくれたが、P子さんは「え、いいです。悪いですよ。」と答えた。
でも、男性社員は「でもこれ重いでしょう?大丈夫?」と言ってくれた。それでもP子さんは「大丈夫です。」と答えた。
男性社員は「あ、そう。じゃ。」と言って行ってしまった。
P子さんはそれを一人で運び、腕を痛めてしまった。
翌日私と買い物に行ったP子さんは、このエピソードを話しながら、「あんな重いもの私が運べるわけないじゃない!」と怒っていた。「その男性社員に手伝ってもらえばよかったのに。」と言ったら「3回聞いてくれたらお願いしたの。2回しか聞いてくれないんだもの!」と、その男性社員の好意まで怒っていた。
勝手な人だなぁ、という印象になったのです。
余計なことには巻き込まれたくない、人のいざこざには付き合いたくない、自分はお給料と交通費をしっかりもらいたい、でも責任は取りたくない。定時で帰りたいから残業はしたくない。でも有給休暇は欲しい。福利厚生も欲しい。でも会社の理念には興味がない。
こんな勝手な言い分を会社は歓迎するでしょうか?
いじめられた。毎日がつらい。涙をこらえて出勤している。誰とも話をしていない。
でも、他人がいじめられるのをみても、何とも思わない。同僚がいじめられていたり、嫌がらせを受けているのを見て、自分にもとばっちりが来ないようにしてきた。
今は自分がいじめられている。助けてほしい。
助けてほしいけど、自分がいじめられていることは明るみになってほしくない。
上司やいじめる同僚の名前が知れ渡るのは困る。
いじめてくる人に、自分が通報したと知られるのはもっと困る。
なんだそれ?と思ってしまったが、仕方ない。
私はキャリアカウンセリングも行っているし、こういう職場の悩みや個人カウンセリングも請け負っている。すべて有料です。
P子さんは「友達だから助けて」と言ってきた。助けてあげたいよ、そりゃ。
でも私は同じ会社の人ではないし、無料で相談に乗るには限界がある。
だから、「やっぱり専門の機関に相談しな」と言った。
「録音すれば?」との提案は、「やっぱりするしかないかな」と言っていた。
会社の規則で録音が禁止されているのは当然なのですが、それは機密保持のためという大事な理由があるのだけれど、いじめでしょ?幼稚な。目的は自分がいじめられていることを証明することでしょ?
もしかしたら他にも証拠を集められるかもしれないけど、悪口を言われているだけなら録音すれば?と言ったら、そうしようかな、と答えていた。
悪口と言っても、どうせ幼稚なことしか言われていないだろうと思うから、きっと録音した音声を聞いて改めて、くっだらない、と、悩むのがバカらしくなってくれればいいんだけどね。
あとはちゃんと相談しなさい、と。専門機関が社内にあるほどの大企業なわけだから、ぜひともちゃんと相談しないともったいない。ぜひ相談するようにと伝えた。
P子さんは「えー。それが理由でまた波風が立ったらどうしたらいい?」と聞いてきた。
知るか。
私は「そもそも、いじめを始めた時点で波風立ってるでしょ。波風を立てている張本人がいじめる人でしょ。なら自分で立てた波風に自分で当たってもらえばいいじゃない。P子さんも、解決したいなら行動しな。それは自分の責任でしょ。」と言い放ってしまった。
今までそんなに強いこと言った事ないんだけど、今回はどうしても我慢がならず。
でもそこで気づいたことは。
ご都合主義の人はどこまで行ってもご都合主義だ。
いじめを見ても、当事者になっても、自分のことしか考えていない。
自分を正当化するために、自分が今置かれている都合のいい立場を守るために、相手を変えたいと思う。虫が良すぎるよね。
いじめなんて、自分を変えるきっかけの一つ。
私だって散々いじめにあってきた。小学校とかでも。大人になってからでも。
おかげで逞しくなった。いじめられる自分にも問題があることをよくわかるようになったのだ。
そりゃそうだ。あんなことしたらいじめられる、ということばかりだった。
P子さんも、自分を啓発するいいチャンスじゃないかと思う。
そういう風に考えられると、きっと一歩成長できるんじゃないかと思うけど。